昨年、はじめて エコファーのコートを買いました。
全ての素材がエコファーではなく袖部分だけのものですが、見た目はフェイクかどうかわからないくらい今日日のエコファーは本当によく出来ていて、重厚感はないですが、反面軽くてお天気が悪い日も安心。暖かさも極寒地でなけれな十分OKです。
ファー好きの私の勝手な思い込みで 大人なのにフェイクファーってどうよ。って思っておりましたが
「フェイク」というワードを「エコ」「エコ」と呪文のように置き換えて、大人だからこそ自ら望んで あえてのフェイクファー ってことで自分の中ではたいそう満足しております。
リアルファーを選ぶ理由は?
ふと ファーを着る意味って。なんだろうと。
確かに暖かさは秀逸ですが、現代はヒートテックなる暖かい肌着もありますのでファーを着なくては寒さをしのげないようなことはないはずです。
ファーのどこが好きなの?と自問自答してみました。
ふわふわ の見た目のかわいらしさ。やゴージャス感?
つややかな毛並みやふわふわな毛の手触り?
小動物を手に乗せてなでたり、ぬいぐるみを愛でている感じ?
私の場合は ゴージャス感というよりふわふわなかわいらしさ。
そしてそれが「フェイク」でなく「リアル」であること。
フェイクって後ろめたい気持ちになる言葉が悪いのか。
どちらか見分けがつかないくらいなら人工的な素材でいいのでは?
と簡単にならないところがモヤモヤします。
好きなものは好き!どこが?とか理由を言語化なんて無理!
好きな理由をきちんと言葉にできないような私の軽薄な好きのために、
リアルな動物が犠牲になっていることを考えると、
「リアルへのこだわり」を果たすのは偲ばれます。
出来上がった製品として見るとかわいくても、素材の生産現場を実際に見ていないから「わかるけど・・・」 「やっぱり素敵よね。」 などと悠長なことを言っていられる私です。
「パンがなければブリオッシュを」の時代ではありません。
現代のかたなら誰もが自分のファッションのために誰かが犠牲になることなど望んでいないと思うのです。
植物由来のコットンなら大丈夫?誰も犠牲になっていない?
動物を殺生するファーやレザーが問題ならば植物由来のコットンならば大丈夫。
のはずですが、コットンにも課題があるようです。
コットンの花は優しいお花でした。
南国で見るハイビスカスや、わが家の庭でみるみる高木になった「芙蓉」にも似ています。
いづれも同じ「アオイ科」
お花が終わると実ができてその種の種皮細胞が綿毛と成長します。
これが「コットンボール」
右下は花が終わって実の状態です。
この白い綿毛を集めて 複数の段階を経て紡績し糸 → さらに木綿生地になっていきます。
コットンになるまでの工程は
こちらのブログに詳しく書かれています。 WORKERSブログ
コットンは植物。
栽培の際に光合成をするので二酸化炭素を吸収し酸素を放出します。
化学繊維が製造過程で石油エネルギーを消費して二酸化炭素を放出することを考えたら
素晴らしい!!
地球環境のためにも優しい素材となるはずです。
年間を通してお世話になっているデニムや、春から着るニット
白いブラウス、肌着。 コットンなしでは考えられない生活です。
世界的にもコットンの消費量は現在伸び続けています。
日本では原料になる綿花の栽培はほぼゼロに近い数字です。
世界の生産国トップ3は
1位 中国
2位 インド
3位 アメリカ合衆国
日本は綿花の栽培はなくとも、かつては紡績王国として 材料の綿花を輸入して
素材として生地に、そして製品化して海外へ輸出していましたが、
ご存知の通り ローコストのアジアへ製造工程を移し、現在では更に紡績自体も海外へシフトしているようです。
このコットン栽培する際に環境に優しい・・・と書きました。
地球温暖化防止のための二酸化炭素を吸収してくれるのはいいのですが
畑の雑草、害虫、防カビ、収穫時の枯葉剤など殺虫剤や農薬を多く使うらしいのです。
これらは糸になるまでに除染されて残留農薬はほぼゼロになり
製品を使用する人には影響を及ぼさないとなっていますが
栽培する土壌や、地下水を通じて河川を汚染し、栽培にかかわる人の健康を蝕んでしまうのです。
オーガニックコットンって?
「オーガニックコットン」って聞いたことがあると思います。
これまでに私も出産のお祝いで ベビーちゃんのオーガニックコットン素材の肌着を何度もギフトしてきました。
デリケートな肌の新生児には不純なものが混入されていないものを。
という思いで選んできました。
オーガニックコットンは 基準を満たした農場だけに与えられる品質ブランドです。
有機肥料を使い土壌を改良して認定された畑で 栽培時には決められた農薬のみを使い
厳しい基準のもとに認定を受けたものを 「オーガニックコットン」 として出荷することができるのです。
当然、生産性は下がります。
ところがです。
収穫される綿花自体は通常に栽培されたものも残留農薬はなく
オーガニックコットンとの違いは化学的テストでも判別がつかないのです。
「えっ?」
肌に優しい って思っていたのに 根拠がなかった!?
いくら残留の農薬が有害なものは残っていないとしても
もちろん 綿花になるまでの過程において農薬は少ないほうがいいと思います。
それは生産する人のため。栽培時に農薬の被害がないように。
「オーガニックコットン」の本来の意味は
着る人に安心。 もさることながら
コットンを生産している人に優しい。という基準だったのです。
個人的にいちばん心配なのは 児童労働です。
安い労働力を求め、貧困な生活から子供たちが学校へ行けず働かされています。
世界の子供を児童労働から守る
インドのコットン畑での児童労働の現状
オーガニックコットンは、この児童労働の禁止も含めた
労働環境の規定や人権問題にも基準を設けて認定されています。
生産性が悪いので製品化されたお品物の値段は高くなってしまうかもしれません。
ですが みんなに優しいコットン です。
コットンをお求めいただくかたもぜひ 優しい気持ちで選んでいただけたら。と思います。
参考: NPO法人 日本オーガニックコットン協会