先日バーバリーのライセンス生産が終了することについて書きましたがライセンス販売することはヨーロッパやアメリカのラグジュアリーブランドにおいても昔は盛んに行われていました。
ほとんどのブランドで習慣も知らない、商法も違う未開の地に現地法人を設立して販路を開拓し、店舗を運営していくリスクなど当時は考えられなかったことと思います。
契約書の紙1枚でブランドの名前を巨額な契約金と、売れればロイヤリティとして利益を得られるわけですからこんなに楽して利益を得られることのできる商いは魅力的でないはずがありません。
ブランドとして成功した証であり、ビジネスモデルでした。日本でも パリコレやミラノコレクションを飾るトップブランドがライセンス販売をしていました。
イヴサンローラン(現サンローラン)、ウンガロ、ランセル、ディオール、クロエ、ヴァレンチノ、ランバン・・・
日本の商社やメーカーは新しいブランドを育てる苦労なく知名度のあるブランド名を既存商品のノウハウを生かして製品を作り、今ある販路を使えて販売することができるわけです。
本国ブランドにおいては、気候の違い、人種の違いで世界統一規格で商品をつくることができないためその国それぞれで 人の好みや身体の特性、生活習慣、気候を良く知るその国に企画、生産を任せることが手っ取り早くコストやリスクを抑えて世界展開できる方法でもありました。どちらにも利にかなったマリアージュだったはずです。
本国からのインポート商品の販売代理権とライセンスを併せてもつケース、更にそのライセンスをサブライセンスすることもあり、また過去のラルフローレンのようにライセンシー(本国ブランド)から製品ごと(婦人服、紳士服、靴下・・・)にライセンスを切り売りすることもあり複雑になっていきました。
ライセンス生産品はブランド名を使わせてもらっているものの国内需要に合わた低価格の設定で、更に本国ブランドではありえないような製品展開(スリッパや、お布団カバー・・・など)でブランドイメージを下げてしまうことも多く本国ブランドとのギャップが問題視されるようになりました。
加えて法規制の緩和やグローバル化、現地法人設立のモデルケースが生まれ今ではラグジュアリーブランドのライセンスはほとんどなくなってしまいました。
ライセンス契約の打ち切りは 規模が大きくなってしまうと大変な打撃になってきます。先日コラムで書きました 三陽商会のバーバリーのように 全社の売り上げがひとつのブランドに偏ってしまうと会社の存続にすら影響するほどです。
過去にはカネボウのディオール、 ファッションブランドではありませんがデサントのアディダスなどがあります。ファッション中心のブランドにおいては現在もライセンス化がうまく行っているケースも多数あります。
ラルフローレン、カルバンクライン、ダイアン フォン ファステンバーグ、アクアスキュータム、ダナキャラン、ヴィヴィアンウエストウッド、ミシェルクラン、ポールスミス、セオリー、ジョセフ、マーガレットハウエル、ブルックスブラザーズ・・・
ライセンス品は「ニセモノではないけれど別ものよね。」というご意見もあります。確かに正しいと思いますが、品質の点では日本の製造技術、生産管理の高さにより本国ブランドの製品よりもクオリティが高いものもあると思います。