キングオブバックといったら やはりエルメスのバーキンになるでしょうか。ルヴィトンのボストンバック キーポルも年齢問わず、性別問わずお持ちになっているかた多いと思いますがこのごろはキャスター付きのバックにすっかり押され気味です。人気や知名度はもちろん話題性においてもバーキンが間違いなくトップです。
私がバーキンを知った時からバーキンのお値段は2倍以上になっていますがその間、中古市場ではバーキンはほぼプレミア価格のまま推移しています。このエルメスのバーキンも、ケリーにしても 他のメーカーで似たような形を作って、バーキンタイプやケリー風として販売している場合があります。
一時期は エルメスの元職人が作っているブランドとして堂々と販売されてました。ご自身のブランドを持つ女優さんのレーベルで、エルメス好きな方がお召になるようなお洋服のブランドで・・・無名のブランドながらデパートや呉服屋さんの催事で・・・
これっていいの?
以前はエルメスのバーキンやケリーは 商標権がありますので「HERMES」のロゴを使うことはできませんが、バックのデザイン自体は意匠権がありませんでしたので、同じようなデザインでバックを作ることは問題ありませんでした。意匠権は有効期間が15年ですので、取得されていたとしても、その期間満了後は自由に使うことができてしまいます。
同じように20世紀近代建築で名を馳せた巨匠、ル・コルビジェが1928年に発表し、ニューヨーク近代美術館の永久保存版にもなっている伝説のソファー&テーブル LCシリーズはご本家ものをカッシーナで購入すると LC2 3人掛け用で100万円を超えます。
意匠権が切れていますのでリプロダクトとして誰でも同じデザインで作っていいことになっています。そのため中国製で同じデザインのものが2万円~3万円で販売されています。革の質、すわり心地、耐久性は全く別ものです。
エルメスは2011年にバーキンで「立体商標権」を取得しました。他にはコンスタンスとケリーが登録されています。これ以降同じデザインのバックは他社で作ることができなくなっています。ですので、現在 「HERMES」 のロゴが入ってなくともアウトです。
この「立体商標」は「意匠権」とは似て非なるもので、10年が有効期間ですが「商標権」と同様に任意で半永久的に更新できます。
意匠権と同様にその品物の外観に関することで共通ですが「意匠権」が特許のように独自性が基準になるものの「立体商標権」はその形状から商標を連想させるものであり、広く世間に認知されていることが必要になってくるようです。このため「立体商標」の取得はハードルが高く不二家の「ペコちゃん」 取得第一号でほかに コカコーラのボトルの形状、お菓子の「ひよこ」、乳酸菌飲料ヤクルトのボトルの形状など・・・10数点しかありません。
2014年 この立体商標権の侵害事件のおもしろい判決が出ています。韓国ブランドで 「ジンジャーバック」 というものが販売されていて人気だったようです。これはバーキンのコピー商品のようなものではなく、バーキンの写真をバックにプリントしたようなパロデイに近いバックです。
誰もこのようなバックをエルメスのバーキンだと間違うことはあり得ませんが、賠償命令が下されて 販売サイトは閉鎖されています。