
日本橋三越店
1972年 ティファニーの日本で最初の店舗です
それから半世紀が過ぎました。
かつては日本人にいちばん人気のあるジュエリーブランドと言われた時もありました

ティファニーブルーの基になった アメリカンロビンの卵

2024年11月 ティファニー表参道店
たくさんのフレッシュフラワーがエントランスを飾っていました
可憐で正統的な美から繊細で力強さへ
2024年ティファニーのジャパンアンバサダーに冨永愛が選任

日本人トップモデルといわれるようになった現在、女優としても活躍の幅を広げられています。彼女の見せるプライベートな姿は気さくで努力家、母としての顔やアフリカでの慈善活動の姿などクールな見た目に勝る魅力的な歳の重ね方をされています。自立した強い女性 的確で好感の持てる選任と思えます。
1980年代後半 クリスマスには店頭から商品が消えていた
現代の若い人たちの前では封印しないといけない黒歴史。昭和バブル期の浮かれようです。
当時、20代、30代女子の10人に1人はティファニーのアクセサリーを持っていた(もらっていた)であろうくらいの人気でした。
地方の新潟ですら12月に入るとティファニーには開店前から長蛇の列ができていました。
並んでいるのは全員男子。
誤解を恐れずに申し上げると、当時ティファニーは自分で買うものではなくプレゼントされるもの。マリッジリングは2人で選びに行きますが、エンゲージメントリングまでは男子がひとりで選びに行くことが多かったのです。
クリスマス直前、あこがれの銀座三越店を体験しましたが商品ケースの前に近づくことすらできない混雑状態。
必死の思いでつかまえたスタッフのかたに欲しかったものの第3候補告げても全て売り切れで、在庫のある中からまったく予定外のオープンハートブレスレットを包んでもらった記憶です。
そのような混雑状況になると現在は整理券を配布したり入場規制をしますが、当時はまだその発想がなくほんとうに朝の通勤電車状態でした。
いま、「そうそう。そうだったわ。」と懐かしい記憶を蘇らせているかたにお知らせします。
ティファニーはだいぶ変わりました。
そして
変わらないティファニーもあります。
今回はそのあたりを日本上陸から一方的にティファニーに想いを寄せるおばさんが解説いたします。
A LIFETIME OF TIFFANY – 人生にティファニー
「人生にティファニー」
ティファニー 1990年代のキャッチコピーです
壮大なフレーズですが、アメリカの香りがする素敵なポスターに載せられたそのフレーズに
田舎のOL(ご存じない世代に解説 女性会社員の意味です)は完全にノックアウトされていました。
「雪の降る中、男性がブルーボックスを持って急いでいる姿」
「ウエディングドレス姿の女性」
「新たな命をみつめる若いご夫婦。傍らにブルーボックス」
「円熟期のご夫婦がいたわりあうような姿」
どれも胸が熱くなる写真なのです。
そう!人生にティファニー
幸せはティファニーと共に
ティファニーのジュエリーを贈られる=愛される幸せな女性像
そんなメッセージを受け取っていたように思います。
恋愛や結婚そして人生にキラキラとした大きな妄想を描いていたのです。

当時は素敵♪と思っていましたが
正直、今画像を見ると炎上してしまいそうと少しドキドキします。
どれも男性が女性に贈るシーンなのです。
もちろん現在でもそのようなシーンもたくさんあると思いますが、そういったことを前面に押し出すことは好まれなくなっているかもしれません。女性も自分で幸せをつかめる 時代なのです。
あれから・・・ティファニーの変化したところ
資本が変わりました
あまりにも有名ですが、2021年1月LVMH傘下になりました。
2019年最初の合意からコロナ禍での業績悪化、買収白紙撤回、お互いの提訴など泥仕合を経て
ようやく成立した買収でした。買収額はLVMHでの過去最大158億ドル(約1兆6700億円)
ティファニーのLVMH入りに関して古くからのファンのかたにとりましては悲喜こもごもおありかと思いますが、日本上陸から一方的にティファニー愛をかた向けていた私も、更なるブランド価値が高められることが楽しみな反面、巨大グループに飲み込まれてしまう一抹の寂しさ、良くも悪くも「遠くへ行ってしまうのね」と思ったのでした。
顧客対象が女性から幅広い世代・性別になっています
Supremeとのコラボでストリート系男性にアプローチ
買収後の2021年11月、最初に打ち出したシュプリームとのコラボで、これまでの顧客層とは対極にある「若年層・ストリート系・男性」にアプローチしました。
↑古い記事にはなりますが、2017年ルイヴィトンのとのコラボで大変なことになった際に書いたコラムです。

デザインはティファニーの定番ともいえる1969年に発表されたキーリングの“リターン トゥ ティファニー”をベースとした6種類に加えてティファニーブルーのシュプリームボックスロゴTシャツ1種類。
・ハートタグのペンダント
・オーバルタグが付いたパールネックレス
・ハートタグのピアス
・ハートのキー型リング
・オーバルタグのキーリング
・スターブレスレット
すべてスターリングシルバー製
新しいデザインでなく、これまでに広く知られた名作をアレンジしたところもティファニーの一端を知ってもらうために必須の手法です。
ティファニーロック発表でユニセックスデザインをアピール

少し物足りないと思ってしまいそうなほどシンプルなデザインですが、ほどよいボリューム感が美しいバランスをつくります。

ティファニーロックは性別をなくしたことを前面にアピールし、ブランドアンバサダーに BLACKPINK(ブラックピンク)のROSE(ロゼ)、日本アンバサダーにSnowMan(スノーマン)を起用しました。

ティファニーロックコレクションの前にもティファニーT、ハードウエア などシンプルで甘さを抑え、ユニセックスで提案できるコレクションを発表していました。いずれも人気があり、特にTコレクションのTスマイルペンダントはドラマでの商品提供などもあって超ヒット。なかなか購入できない状況が続いていましたので、時代の流れに沿う形ではあったと思います。


NIKEとのコラボでティファニー歴史初のスニーカー
2023年3月ナイキとのコラボでスニーカーを発売しました。
ジュエリーメーカーが皮革製品でバッグを作った時にも驚きでしたが、今回はスニーカー
継続するアイテムではないにしても、想像を超えたタッグはシュプリームにも劣らない話題性を提供しました。

スニーカーは「エア フォース 1」というモデルで、
シュータン(ひもの下部分のこと)にクラッシックな筆記体での「Tiffany」ロゴが入り、
ヒール部分には両ブランド名をプリントしたシルバーのプレート、
ブラックのベースにティファニーカラーのナイキのマーク(スウッシュと呼ぶらしい)
日本定価 ¥48,400円 Tiffaniy WEB
率直な感想を言わせていただくと、ナイキのコレクターのかた、ティファニー好きなかたはそれぞれ多いと思いますが顧客層の接点が見えてこない。その意外な組み合わせが逆に希少的なのか??
多少の人気はあってもそんなに人気になる?なんて思っていましたが、完全な老婆心、まったく的外れな疑問でした。
ティファニーはニューヨークの、そしてアメリカの象徴なのです
「エア ホース1」はナイキがAIRを搭載した初のバスケットボールシューズ
アメリカ=バスケットボールという強大な接点があったのです
NBAスタープレイヤーレブロン・ジェームズやアメリカ系アメリカ人の差別を描く社会派映画監督でありニューヨークを本拠地にするニックスの熱烈なファンでもあるスパイク・リーを使っての広告戦略もさすがLVMH。いつもながらお見事です。プレミア度は思った以上に高く定価の4倍~6倍相当で取り引きされています。
ポケモンとのコラボ
2023年12月
「ティファニー&アーシャム スタジオ&ポケモンカプセル コレクション」発売
Tiffaniy WEB

2024年9月
読売巨人軍ジャイアンツは球団創設90周年を記念してアウエイロゴ製作をティファニーに
GIANTS WEB

資本が変わってから積極的にこれまでとは違ったユーザー層に届けられています。やや保守的な印象からの脱皮が大きな市場を作り出すことでしょう。さまざまなプロモーションはティファニーのDNAにこれまで感じたことのなかったものを感じます。話題作りの巧みさは資本が変わったことによる効果、端的にいうとLVMHらしさという印象です。
これまでにコラボレーションをやってこなかったわけではありません。ロレックスやボーンメルシェとのリストウォッチ、旅行用ラゲージのグローブトロッター、シュタイフのティファニーベア。2016年設定がティファニージャパンで全面協力したTBSドラマ「せいせいするほど愛してる」、2020年Netflix ドラマ「梨泰院クラス」の商品提供で大きな動きを作ったものもありました。
変わらないティファニー
エルサ・ペレッティのオープンハート
日本ではティファニーといったらオープンハートと言っても過言ではないくらい浸透していたことはご承知の通りですが、ご本家のニューヨークでは違和感を感じていたことと思います。
オープンハートは健在です。当時、ティファニーでは異端であったシルバーアクセサリーは日本が最大の消費者であったはず。あの頃にはなかったピンクゴールド素材(ティファニーではローズゴールドと呼びます)も加わっていますが、40年前に持っていたものと変わらない来ナップが並びます。一時期姿を消していたデザインもあるのですが、過去のブームを知らない世代や国と地域にけん引され2020年頃から徐々に復活してきて全盛期のフルラインが揃っているのです。

オープンハートをデザインしたのは エルサ・ペレッティ
エルサ・ペレッティ
彼女はイタリア生まれ、インテリアデザインを学んだモデルでした。ティファニーの専属デザイナー契約を結び、オープンハートだけでなく、バイザヤード、ビーン、ティアドロップ、ボーンカフなどのメガヒットをデザインする。ティファニーでは初めてのシルバー素材。安価な素材とされていたシルバーをジュエリーの分野に入れたのは彼女の功績です。またティファニー全体の売り上げの10%がペレッティデザインであったという伝説も生まれました。
私たち日本人をティファニーの虜にしてくれたのはまぎれもなく彼女。
ウィキペディアによると2021年3月18日にスペインの自宅にて80歳で亡くなっている。没後にも日々世界中で愛され続ける彼女のデザイン。ティファニーへの入り口を作り出してくれた偉大さに心から敬意を表します。
ボーンカフバングル

まさに骨からインスピレーションを得てデザインされた ボーンカフバングル
こちらもエルサペレッティのデザイン
1970年にデザインされたもの。評価されて続けているわけはエルサペレッティの「良いデザインは一瞬で人を魅了する」というその言葉通り。個人的には以前ならどうやって使っていいかわからなかったこのバングルですが、今は抵抗なく使えそう。

イエローゴールドとシルバー、サイズもスモールとラージだけでしたが、コッパ―(銅)ブラックフィニッシュ、デザインも増殖しています。
メッシュコレクション
こちらもエルサペレッティがデザインしたもの。こちらも当時はエレガントすぎて・・・と眼中になかったのですが、今、新鮮に映ります。

リターン トゥ ティファニー
こちらも何度となく人気になっているデザイン。今も現役人気です。(こちらはペレッティのデザインではありません)

1966年にキーホルダーとしてデザインされたものが始まりです。スクリューボール式というのが斬新でした。

当時は製品ひとつひとつに固有のシリアル番号が刻印されていました。
PLEASE RETURN TO TIFFANY と書かれたキーホルダーは本当に「拾ったかたはティファニーまで」ってことになっていたのです。(日本では見たことがないので、このサービスは実施されていなかったと思われます)
このキーホルダーを購入すると はがき が付属していたのです。そのはがきに自分の住所や連絡先を記入してティファニーへ送る。するとシリアル番号に符合したユーザー登録がされて、キーホルダーを落としてしまった場合でも、ティファニーに届けられたら連絡が来る。ということになっていました。
実際、どれくらい届けられた事例があったかは知ることはできませんが、1998年頃にはがきの配布がなくなり、後追いでシリアル番号の刻印もなくなりました。
もはや過去のお話しで、PLEASE RETURN TO TIFFANY の文字はデザインになっています。

平面だったハートがぷっくりしたした新しいデザインも加わって、豊富なラインナップになっています。カラフルなレザーグッズでも展開されています。

ぜひ、変わらないティファニー、新しいティファニーをオンラインストアで体感ください
ティファニー公式サイト
懐かしいティファニーや使っていないお品物がありましたら
ご売却のお見積りも承ります。写真を撮ってLINEで送ってください。折り返し概算でお買取り価格をお知らせしています。
