先日、宿泊を伴って出かけました。家を留守にすることがずい分と久しぶりで、以前はルーティンのようにできていた準備にとまどってしまいました。
長期に出かけるときには、ただでさえ仕事を片付けたり荷造りがあったりと忙しくなるのに、私はそこへ多少の身辺整理もしたくなるのです。日頃からきちんとしていれば慌てる必要ないのですが、出かけた先でもしも不慮の事故にあって、この部屋を誰かに片づけてもらわなければいけないことになっても恥ずかしくないようにと、下着が入った引き出しの整理や、棚の上のほこりを掃除して出かけねばと思うのです。
今回はたった1泊の外出でしたが、ベットのシーツやまくらカバーも新しいものに変えて念入りに不慮の事故に備えました。(笑)
しかし考えたら、万が一のことがあれば、部屋のほこりなどは取るに足らないことで、それ以上に携帯電話をはじめとするさまざまなパスワードや契約事項、保険や預貯金、書類や印鑑の所在など厄介なことがたくさんあると気が付きました。
まだ早いと思っていても、いつ何が起こるかわからないことは確かですが、無意味にそのことに備えているとしたら、もっと有効に備える必要があると思いました。
実は10年以上前にエンディングノートは買ってありました。「まだ早いかな」と中身は白紙のまま。
「まだ早い」と思ったエンディングノートですが、現世で自分が終わるときに備えること。万一のためであってもそれは本来、常に必要なのかもしれません。
ミニマリストにはなれなくても
近年注目を集めるミニマリズムな生活スタイル。ミニマリストとはシンプルさと物質的な過剰を避けること。もしもに備えるなら、ミニマリズムのことも知っておくのはよいことかもしれません。私の周りにはスペシャリストはいないのですが、ダンボール15個程度で引っ越しできるセミミニマリストと、大人になってからこれまで買ったものは何一つ捨ててないのではないかと思うほど、本人曰く「モノを大切にする」両極の人がいます。本人たちが心地よく思っている現状ですので意見はありませんが、比較する素材として、そのメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。
セミミニマリストのMさんは一人暮らしで引っ越しの毎に物を少なくしてきたそうで、使わないものは処分しているので泊まれる客人は2人まで。服は柄のないエルメスのコットンとカシミヤ、夏はリネンのブラウスとパンツスタイル。それは昔に買ったものではありません。タオルやシーツなど日常使うものは今も変わらず質のよいものを使い、趣味の読書は書籍の重さが好きとKindleはやめて散歩がてら図書館へ行き借りる。ひとりでシンプルな心地よい生活をおくっています。遊びに行く際にも「原則手ぶらで来ること」を強く約束させられています。
一方ものを大切にするYさんはご子息が独立してご主人と二人暮らし。おしゃれが好きで、お買いものも大好き。物は増えていくばかりですが、物に執着しているわけではないので、欲しいと言われれば嬉しそうに気前よくなんでもくださる。今話題のスイーツ情報にも感度よくお友達の集まりには何種類も持参する。おうちはご子息が幼稚園の頃に書いた絵から文集まで思い出部屋にいっぱいになっていて、整頓されているのですが全てが too much 。手芸や絵画、ガーデニング、トレッキングと多趣味で世話好き、生活もお家の中も忙しく充実しています。おふたりそれぞれ家族構成や環境が違うので単純に比べることはできませんが幸せな時間を楽しんでいらっしゃるように思います。Yさんはミニマリストにはなりたくないと宣言していて、「物をため込むのは不幸を呼び寄せる」といった新興宗教のような刷り込みは不快と言っています。
もしもの時、自分の残したもので手を煩わせないために意識したミニマリズムですが、メリットとデメリットを調べてみました。
ミニマリストの功罪
メリット1 環境への貢献
ミニマリストの生活は、資源の節約や廃棄物の削減につながると言われています。これまでのものを一旦放出する際には廃棄物が増えますが、新たな所有を最小限に抑えることで、環境に与える負荷を軽減し、持続可能な生活への貢献が期待できます。
メリット2 経済的な利点
ミニマリストは不要な物を手放し、必要最低限のものに焦点を当てるため、消費の抑制や節約につながります。これにより、財政的な自由や経済的な安定を実現すると言われています。
メリット3 心のゆとりと幸福感
物質的な所有の追求に囚われることなく、ミニマリストは心のゆとりや精神的な豊かさに重点を置くことにつながります。物に執着することなく、本当に大切なことや人々に時間やエネルギーを注ぐことで、幸福感を得ることができます。
デメリット1 持続的な維持が難しい
ミニマリストの生活は、定期的な整理整頓や物の管理を必要とします。この習慣が身につかない場合や、忙しい生活スケジュールによって維持が難しくなることもあります。
デメリット2 制約された選択肢
ミニマリストは物質的な所有や消費を制限するため、選択肢が制約されることがあります。特にファッションや趣味、娯楽などの分野で、多様性や自由な選択が制限される場合があります。この制約がストレスや欲求不満を引き起こすこともあります。
デメリット3心理的な困難
物に執着しないことや物事を手放すことは、一部の人にとって心理的な困難を伴う場合があります。過去の思い出や感情的な結びつきがあるものを手放すことに抵抗を感じることもあります。また、所有物を減らすことで安心感や安定感が損なわれる場合もあります。
デメリット4 充実度の違い
ミニマリストの生活では、物質的な所有や消費を制限することによって、一部の人にとっては充実感や満足感が得られますが、これは個人の価値観や好みに依存するため、全ての人にとって同様に充実した生活とは言えません。一部の人にとっては、物質的な豊かさや所有欲求の追求が充実感をもたらす場合もあります。
これらはネットに書かれていたミニマリストの功罪ですが、ミニマリストが絶対正義ではなく、デメリットにあるように本人が望まないことを強制させられてはかえってストレスになります。大切なのは自分がミニマリストを実践したいかどうか。ではないかと思います。
断捨離メソッド
「断捨離」という言葉は今では変換ワードで出てくるほど一般化していますが、もともとはやましたひでこさんが作られた名詞です。ものを捨てたり整理することの意味で使われていますが、本来は物に姿を変えている心の執着を捨てること。
この本の中で、明日への空虚な不安がものを捨てられなくしていると書かれています。
断捨離というと新しい片づけ術かと思うかもしれませんが、そうではありません。断捨離®とは、モノへの執着を捨てることが最大のコンセプトです。モノへの執着を捨てて、身の周りをキレイにするだけでなく、心もストレスから解放されてスッキリする。これが断捨離®の目的です
必要もないもの、使わないものを手放すことで、本当に必要なもの、本当に価値のあるものがさらに浮かび上がってきます。
断捨離Ⓡ公式サイト
https://yamashitahideko.com/
50歳を過ぎたらミニマリストの生活スタイルは取り入れるべきかも
万一の時には自分の周りの整理や処分を子供や専門業者、誰かに頼むことを前提としていてご了解いただけているならば、その必要はないかもしれません。がしかし、できるだけ相手の手を煩わせないようにしておくことは必要なのではないかと思います。
不慮の事故に年齢はかかわらないことですが、ある一定の年齢になったらそのことを考えておかなければいけないのかもしれません。実際にお客様で「終活です」とお品物をお買取りにお持ちになるかたもいらっしゃいます。日本女性の平均寿命は80歳を超えていますので「まだまだ早い。早すぎるでしょう。」と反応してしまいますが、先延ばしにしている「いつか」が現実にきた時には身体的にも能力的にもたくさんの苦労が伴うことには間違いなさそうです。そのためには早めの。早すぎるくらいのタイミングで生活スタイルを見直すことがよいのでしょう。
ミニマリストの実践方法
ミニマリストを目指すにはいくつかのアプローチがありますが、一般的な原則としては以下のようなものがあります。
デジタルの整理
デジタル空間も整理することが必要です。メールやファイルの整理を行い、不要なデータや情報の蓄積を避けます。また、デジタルデバイスのアプリやソフトウェアも最小限に保ち、本当に必要なものだけを使用するようにします。
不要な物を手放す
物理的な所持品を見直し、不必要なものや使わないものを処分します。これにより、整理整頓された環境を作り出し、気持ちの余裕や焦点を得ることができます。
購入の選択を慎重にする
新しい物を購入する際には、本当に必要かどうかを考えます。衝動買いや一時的な欲望に惑わされず、長期的な価値や使い続ける可能性があるかどうかを考えます。本当に必要なもの、気に入ったものを購入するにはためらいを持たないことでしょう。品質のよいものや耐久性のあるものを選ぶことで、長期間にわたって使い続けることができます。
重要なものに焦点を当てる
ミニマリストは、本当に重要なものや活動に時間やエネルギーを集中させます。自分の価値観や目標に合わないものに無駄な時間やリソースを使わず、自分にとって本当に意味のあることに注力できるのです。
心地よい環境を作り出す
ミニマリストは、自分にとって心地よい環境を作り出すことを追求します。物理的な環境だけでなく、心の中や日常生活の中でも余分なものやストレスを排除し、シンプルでクリアな状態を保つように努めます。
まとめ
ミニマリストの生活スタイルは、シンプルさと物質的な過剰を避けることを重視する人々によって実践されています。環境への貢献や経済的な利点、心のゆとりや幸福感など、さまざまな功績があります。一方で、デメリットもあり持続的な維持が難しいことや社会的な圧力との葛藤、個人の充実度の違いなどは考慮しなくてはならないことと思います。重要なのは本人の意識です。ものがたくさんあっても、たくさんのコミュニティに参加していても、それに対応する備えがあればいいわけです。
とりあえず気持ちに無理をせず、取捨しながら大切なものだけにフォーカスするエッセンシャルミニマリストを目指したいと思います。