今年の日本の夏はどうなってしまったのかとほんとうに心配になりました。
明日のお天気予報で予想気温が30度を超えても驚きません。もはや「あれっ明日は少し涼しい?」と思ってしまうくらいです。
世界の気温を見ても 35度を超えているのは日本や朝鮮半島と熱帯地域の中東やアフリカで、今日の日本の最高気温は赤道上のシンガポールと同じでした。
こんなときはくれぐれもご自愛ください。
不急の外出は避けて 涼しいお家で・・・梅雨を越えたクローゼットをチェックしてみてください。
高温に湿度が加わる日本の気候
まとめて降るようになった日本の梅雨。今年の降水量も多かった。
日本の気候が高温かつ多湿になっています。
私たちも大変ですが、バッグにも過酷な環境となっているのです。
・エナメル素材のもの
・バッグの内側に合成皮革を使っているもの
・ナイロン素材を使っているもの(コーティングも含め)
・革と革を張り合わせたコバの部分の塗装部分など
実は高温や高湿に弱い部分です。
ブランドバッグの耐久性は?
過去には
ベタベタになってしまうシャネルのチェーンショルダーバッグ
内側のコーティングが黄土色に変色するエルメスのガーデンパーティ
バッグ表面が溶けたようになるハンティングワールドのショルダーバッグ
グッチのエナメルがペタペタしてしまう
ロエベの内張りがポロポロと剥がれてくる
ボッテガべネタの内張がボロボロ
ルイヴィトンのバケツ型バッグやバニティに使われていた防水ライニングがぐちゃぐちゃ
内ポケットの合成皮革がベタベタ
いろいろな症状を見て参りました。
お値段の高いブランドバッグがこんなことになるの?と思ってしまいそうですが
それは暑くても湿度のそれほど高くならない欧米では問題にならなかったお品物ですが湿度の高くなる東南アジアにやってきてこのようなアクシデントを起こしたと言われています。
おおかたのブランドで一定の期間 お申し出があれば無償でお修理、交換を行っていただけていました。
現在ではトラブルとなった素材の改良でこのような症状はなくなっていますが
新しい素材を用いたり、塗装や接着の加工材料が変化すると新たなトラブルも見受けられます。
素材と湿度と気温の条件で思わぬ事態にならないように、また日頃はエアコンの効いたご自宅でもご旅行や帰省で長期間留守にされる場合、室内の気温は想像よりも高温になっているかもしれません。
湿度の高い梅雨を越えたバッグなどのお品物たちをお時間のあるときにチェックして変化があれば早めの発見ができますように
またこの夏の暑さ対策、気をつけていただきたいことをよろしければご参考にしていただければ幸いです。
エナメル素材は秋になってから
<エナメル素材>
ハイブランドのエナメルは牛革などに光沢のある樹脂コーティングを施しています。
(安価なブランドのものは皮革を使わずにキャンバスや合成皮革にコーティングされています。)
革そのままの状態よりもエナメルに覆われているので強くなっていると思いきやその樹脂は 暑さに弱く、寒さにも弱い。(だめじゃん)
防水性がある。と表現しているかたもいらっしゃいますがエナメル部分は水をはじくように見えていますが水に強いわけではありません。
確かにエナメル部分から水がしみこむ事はないですが、濡れたら早めにふき取って完全に乾かしていただきたもの。
エナメルを塗られた革は吸湿します。エナメルを塗られた表面から発湿しないので乾燥しにくい状態です。
梅雨の時期に湿度の高い状態が続くと表面のエナメルがしっとりペタつきを感じることがあります。特にご購入されてから時間の経過したものは早いうちにチェックして「あらっ?ちょっと・・・」と感じたら風にあてて乾燥させてください。
単独でベタベタも問題ですが、エナメル同士が長期間接触しているとくっいてしまうこともあります。お財布のように素材が重なる形状のものはふたも開けてカードスロットもチェックしてください。
お品物はどんな素材であっても、片づけたままよりも適度に使ったほうがいいと私は思うのですが、たくさんお持ちのかたは1年に1度くらいは異変がないか確認してみてください。
色やけ、変色の原因になる直射日光、ビーチの暑さ、高温の車内に置き忘れてくたくたになったり、表面の樹脂が溶けたようになってしまうことがないように、できればエナメル素材は気候が落ち着いている時期に使うほうが無難かもしれません。
合成皮革は万能ではない
<内側に用いた合成皮革>
バッグの内側や、内ポケットの内側 、お財布のカードスロットの内側、傷がつきやすいところは合成皮革を使う場合があります。
耐久性が特徴ですが、高温と多湿は得意ではありません。
風通しが悪い状態での保管ではベタベタ、時間の経過でクラックのようにひび割れしたり、最悪な状態ではぽろぽろと剥げてしまうこともあります。
傷に対する瞬発的に強さはあっても、過酷な気候や時間の経過の耐久性はファブリック(布地)のほうが強いようです。
こちらも暑くなる場所での使用は大丈夫ですが、高温・多湿で長期保管には気をつけてください。
<過去の ルイヴィトン モノグラムのサックプラの内側>
防水性に優れた合成皮革を使った内側は高温多湿でこのようにぐちゃぐちゃになってしまいました
コバ仕上げの塗料が溶け出す!?
<ショルダーストラップや縫い合わせの仕上げ部分>
革と革を張り合わせた(縫い合わせた)端っこの部分です。
貼りあわせが剥がれないように接着材の入ったコーティング塗料を塗りますが、この塗料が暑さで溶けてくる場合があります。
これが溶けるとほんとうにやっかいです。
接着剤と塗料・・・想像しただけで大変そうです。バックやお洋服に付着して汚くなります。
あれっ。なんだかぺたぺた?? してる?そう感じたら 早期発見、対応が大切です。
2014年前後に発売されたルイヴィトンの限定商品の中で着色したコバを塗ったものでこの現象が多数見られています。
こちらはルイヴィトン「イカットフラワーノエフル」のショルダーストラップ部分です。 このような症状が見られたら早めにルイヴィトンへご相談ください。お時間はかかりますがフランスのアトリエでコバを塗り替え対応していただるようです。
汗や日焼け止め
<使ったものには汗や日焼け止めが付いています>
夏に使用するものはどれも汗がついてしまいますが、
特に気にしていただきたいのはハンドバックのハンドル、腕時計のベルトです。
バッグを持った手のひら、腕にかけたときも、汗や女性のかたならお出かけ前に塗った日焼け止めも付いています。この時期は外出しない限り避けることができません。
バックのハンドルにスカーフを巻いておくのは見た目だけでなくハンドルをきれいに保つためにも一石二鳥の素敵なアイデアです。
時計のベルトも気になります。
ベルトにはラバー、レザー、メタル、女性用にはサテンなどもありますが、いずれも使用の後は汗や汚れを気にしてください。
メタルベルトの場合コマとコマの間は見えにくいので忘れてしまいがちですが、汚れが蓄積されやすい部分です。さらにケアしずらい場所ですので最悪の状況は雑菌の繁殖も想定できます。
こまめに拭いて普段より念入りにケアをしてください。
ネックレスやブレスレットも同様です。汗をかいてしまったな・・・と思ったらしまう前に汗を拭きとるひと手間をかけてください。
家庭用にお手ごろな価格で超音波洗浄機が売られていますので1台あると便利です。
(エメラルドやパールには使えない機種も多くあります。取扱い説明書でご確認の上ご使用ください)
車内の置き忘れは絶対禁物です。
ご承知のとおり、走行中はエアコンの効いた快適な空間でも、エンジンを止めてしまうと日差しの強い日の車内は驚くほど高温になっています。
ロードサービスJAFの実験によると気温35度でエンジンを止めた車内は4時間で60度、ダッシュボードで80度になるとのことです。 →JAF
サングラスは専用の断熱ケースを購入する、コンソールボックスにしまう。サングラスだけでなく、ポーチ、キーケース、コインケースなども暑い日にはくれぐれも車内に置いたままにしませんよう。夏場は気をつけてください。