バーバリーの冠がなくなる 「ブルーレーベル」 「ブラックレーベル」 買いますか?
もう周知のことですが日本ではバーバリー = 三陽商会 という常識が2015年で終了してしまうのです。1965年からスタートしたイギリスバーバリーとの半世紀に渡ったライセンス契約が延長されないことに決まったからです。
1999年にライセンス契約を20年で更新したにもかかわらず、その後合弁で「バーバリーインターナショナル」を設立。本国バーバリーの直営店を表参道の路面に出店、ライセンス契約期間の短縮要求と分の悪い三陽商会でしたのでこの日が来ることは業界の誰もがたやすく想像していたといいます。
アパレル、証券など関連業界では三陽商会全社売上の半分を占めていたバーバリーブランドを失うというのに認識が足りない。今後の経営を支えるブランドとして「マッキントッシュ」「ポールスチュワート」「エポカ」という計画が甘い。能天気な三陽商会という厳しいことが多く書かれています。
確かに本国からインポートもののバーバリーのコートと三陽商会がライセンスで手がけていた「バーバリーロンドン」ですらかなりの価格差があります。更に「ブルーレーベル」「ブラックレーベル」に至っては「バーバリーロンドン」の更に半値くらいの価格設定です。ヨーロッパではラグジュアリーブランドとして確立されているのに日本では20代からでも買うことのできるカジュアルブランドに近い存在になってしまっているわけですからそりゃ売れるわけです。日本人のかたで イギリスに行ったらバーバリーを買って帰ろう!と意気込んでいたのに現地の値段を見てびっくりされたかたも多いのではないでしょうか。
現地なら安く買えるだろう・・・大間違いです。ブルーレーベルなんてもちろんありませんし、本場ものはラグジュアリーブランドです。日本は三陽商会さんのライセンス生産のおかげで(?)バーバリーの雰囲気がえらく安く体験できていたのです。
とにかくバーバリーは日本国内でよく売れていました。正しくは「ブルーレーベル」「ブラックレーベル」が売れていました。更に近年はアジアのかたたちからの人気が高まり、店頭やウエブ上で転売を強く禁止する警告がされたり購入制限が敷かれていたくらいです。
こんな人気になったのはもちろん第一に価格設定がありますが デザインもガチガチのコンサバティブな「バーバリーロンドン」のままでしたらお値段がお手頃でも若い層にはここまでの支持は得られなかったと思うのです。三陽商会がバーバリーのブランド名を若い層に認知させた功績は大層大きいはずです。
中古市場において 「ブルーレーベル」はアパレルブランドの中で常にトップに位置するくらいの相場で推移していました。「バーバリーロンドン」の定価と「ブルーレーベル」のそれは雲泥の差があるというにもかかわらず、中古の価格は同水準もしくは「バーバリーロンドン」のほうが下回ってしまうのではないかと思われるくらいです。
ここまで広く知らしめたブランド名ですが、このままライセンス販売をしていると本来は高価なラグジュアリーブランドの位置づけなのに安価な商品でブランドの価値が下がってしまう・・・と危惧したのか、はたまた日本でこんなに売れているなら安いライセンス権の収入ではなく直営展開したほうがいい・・・と本国バーバリーは考えるのも当然です。
国内で展開されていたライセンスは 「バーバリーロンドン」が2015春夏で打ち切り。子供服はバーバリーグループへ移管。「バーバリーブルーレーベル」「バーバリーブラックレーベル」は2015秋冬よりバーバリーの名前を外して展開していくことになりました。情報によるとバーバリーの名前は使えなくなりますがチェック柄は使える見込みのようです。またこれまで許可されなかったネットの通販もできるようになります。果たしでバーバリーの冠がなくなった2つのブランドは売れるのでしょうか?
私が個人的に思うところは 本国バーバリーとこの2つのバーバリーは距離が開いてしまっていると感じます。チェックを取り入れているところは踏襲していても、日本人が勝手にバーバリーってこんな感じ?と日本人好みに作り上げてしまったバーバリーのように思えるのです。日本人が中華料理をイメージして作った中華丼が中国に存在しないような感じでしょうか。日本人の好みで作られた「ブルーレーベル」「ブラックレーベル」ですからバーバリーの名前がなくなっても売れて欲しいと思いますがブランド好きな日本人には厳しいのではないかと思われます。
本国バーバリーにはないオリジナルチェックも開発した2つのブランドです。それならば三陽商会さんには 冠のなくなったこの2つのブランドで逆世界進出を果たしてもらいたいくらいです。本国バーバリーでは PRORSUM(プローサム)・LONDON(ロンドン)・そしてカジュアル系のBRIT(ブリット)・CHILDREN(子供服)を展開しています。
日本国内には既に14店舗。これからライセンス店舗がなくなって直営店舗は拡大していくと思われます。カジュアル系のブリットはお値段的にはブラックレーベルに近い感じですが、残念ながら日本人ウケはしないのではないかと予想します。